コラム5】 地球上で汚染されていない場所は

農薬、殺虫剤を使ってきた結果

1.この地球上、汚染されていない場所はどこにもない

生態毒性学の専門家Frank von Hippelさんという方がいます。
Frankさんはアラスカをはじめ様々な地域に自らの足を運び、農薬や化学汚染物質が与える影響を調査しています。

Frankさん曰く、「
この地球上、汚染されていない場所はどこもない」そうです。

何ともショックな話です。
北極や南極といった人が住んでいない場所は最もクリーンで汚染されていないのでは?と思うところですが、たとえ北極や南極でもしっかりと汚染されてしまっている現状があります。

 

一体どういうことなのでしょうか?

2.グラスホッパー効果で汚染は極地までたどりつく

私たちが使う農薬や除草剤、殺虫剤などの化学汚染物質は、ウイスキーの蒸留と同じような原理で、熱せられると蒸発し大気中に入り、温度が低いところで留まります。

夏に蒸発して大気に入った汚染ガスが北上し、冬になるとそこで落ち着き、また夏になると大気中に入り北上します。
それを繰り返し(グラスホッパー効果)、最終的に北極に汚染物質が溜まってしまうことになるのです。このウイスキーの蒸留原理、グラスホッパー効果によって、蒸発してガスになった化学物質は、大気に入り世界中を駆け巡ることが分かったのです。

だから北極や南極、アラスカやグリーンランドなどでは、ホッキョクグマ、クジラ、アザラシ、ペンギン、そしてペンギンの卵にまで、かなり高濃度な汚染物質が発見されるようになりました。

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3.まったくもってフェアじゃない話

グリーンランドやアラスカで暮らす人々。
彼らは未だに、ホッキョククジラ、セイウチ、アザラシ、ホッキョクグマといった狩りをした動物たちを食べて暮らしています。彼らの日常的に取り入れているすべての食事から、ポリ塩化ビフェニルや農薬が見つかっています。実際に彼らは体内の化学汚染物質濃度が非常に高く、将来癌になる確率が高く、発達障害も多いことが分かっています。

きっかけは1980年代にカナダで、工業・農業地帯に住む女性の母乳に含まれる汚染物質状況を調査したことでした。そこで農薬や化学物質を使用している地域の南カナダの住人たちと、汚染が最も少ないと推測されたカナダの北にいあるバフィン島に住むイヌイットの人々を比べました。驚いたことに、バフィン島で暮らす女性の母乳からは、工業地帯に住む女性たちの10倍から20倍の高濃度のDDTやポリ塩化ビフェニル、水銀などの化学物質が見つかったのです。
そこではじめて、世界的に最もクリーンな場所と思われていた場所こそ汚染が進んでいることが分かりました。

彼らはそういった農薬も化学汚染物質を使っていないし経済的利益も享受していないのに、私たちが使用しているものが大気中に乗って運ばれ、一番の被害を被るという、まったくもってフェアじゃない話です。

 


​出典:生態毒性学の専門家Frank von Hippelさんのこの話は、ポッドキャスト"Joe Rogan Experience エピソード1540 で直接聴くことができます。