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  • 執筆者の写真平野 裕子

学べる座談会「これからの暮らし、新しい電気の使い方講座」が終わって。

『環境と暮らし』がテーマの学べる座談会シリーズの座談会を振り返ってみたいと思います。




要望が多かった暮らしの電気について学ぶ講座で、3月末に2日間に渡って開催されました。 エネルギーの自給に興味ある人、災害時に電気を確保したい人、アウトドアで電気を使いたい人、実際に今住んでいる家で実践してみたい人が参加してくれました。



講師の斎藤ゆう君。始まる前に参加者の方がやってくる様子。


「太陽光発電=エコ」という単純なことではない


現在の家づくりでは、屋根にいっぱいの太陽光パネルを敷き詰めて、たくさん電気を使う前提で工事をします。売電で儲かる、元がとれるという考え方になり、大きなロスを生み出していたり、必要以上の大きなエネルギーを使っていることに気が付かないまま、「エコ」や「環境にいい」という言葉だけが使われています。


数百万の投資をして、本当にそれが自分たちの生活に必要な規模なのかは素人には判断できないので、業者の提案に任せることになります。そういった従来の太陽光発電の使い方、考え方とはまったく異なるのが今回の座談会で取り上げた「ぷちグリッド」。


「太陽光パネルは環境に悪い」と決めつけていると見えてこないもの


環境問題に関心がある人は特に、太陽光パネルは環境に悪い、だから太陽光を使った発電は良くない、と決めつけてしまいがちです。太陽光ビジネス用に切り開いた土地に隙間なく敷き詰められたパネルや、住宅の屋根にいっぱいに敷き詰められたパネルを見ると、私自身も大きな違和感があり、これまでの家づくりでは太陽光を使った発電を進めないできました。 でもゆう君のぷちグリッドの考え方を知り、電気のことを学ぶことで、これまで見えていなかったことが見えてきました。良い・悪い、正しい・間違っている、と二元論で決めつけるのではなく、広い視点で物事を見ていかなくてはと反省することにもなりました。



開催時間になるまで参加者がそろうのを待ちながら、電気DIY講師ゆうくんが三線を披露してくれました。


見えないから考えない、頼りっぱなし任せっぱなしの電気

私たちの暮らしの中で、電気はいったいどこからやってきて、壁や天井の中をどう配線されているのか考えることがありません。何も考えずに、スイッチを押せば照明がつき、コンセントにさせば家電が使えます。電気の配給は電力会社に頼り、工事は業者にお任せというわけですね。

自分たちの暮らしの電気を、頼りっぱなし任せっぱなしではなく、自分たちでコントロールしたい。でも完全自給自足のオフグリッドでは、能力主義、完璧主義、個人主義に走ってしまう恐れがあります。



私が進行役として、電気DIY講師のゆうくんと2人での掛け合いで話を進めました。

十分にして最小を知る、はじめの一歩を踏み出す


ゆうくんの提唱する「ぷちグリッド」は、無理をせず肩の力を抜いて小さな一歩からはじめられるのが特徴。豊かで十分な生活を確保しながら、自分たちにとっての最小を知る「十分にして最小を知る」、その考え方がこれまでの常識と大きく違います。そして個人主義や能力主義ではなく、100点を目指さない、家族の幸せを考えながら自分たちができることをやってみる、必要な時には送電網に頼るというのがぷちグリッドなのです。



社会やシステムを責めるより、まずは個人個人が変わっていくことを目指す

わたしたちは社会システムの中で恩恵を受けて生活が成り立っています。もちろん多くの問題を抱えているけれど、ただ責めたり否定して、自分たちは変わらずにシステムだけ変えようとするのではなく、わたしたち個人個人がマインドを変えて行動を変えていくことが大事だと思うんです、とニコニコと穏やかに話すゆうくん。


ゆうくんの描くぷちグリッドの考え方は、寛容で温かい助け合いの精神が根本にあります



我が家でぷちグリッドの工事(第一歩)をやったので、どうやって使うのかを見てもらいました。このコンセントをポータブルバッテリーにつなげば簡単に自家発電へ切り替え。

これはゆうくんDIYのポータブルバッテリーですが、今ではアマゾンでバッテリーも気軽に買えて、パネルなど必要な設備すべて合わせて5万円~はじめられる安さだそうです。



ゆう君が改造したキャンピングカー。パネルは小さなサイズでOK。照明、パソコン、冷蔵庫も使える。

具体的にやってみるハードルも下がり、ゆうくんの人柄に温かい気持ちになり、寛容で温かいぷちグリッドな未来を垣間見ることができました。


今回の座談会は経営者、お施主さんや建築士の方、また宇和島市や八幡市、また他県から海を渡って泊まりで来てくれた方もいました。災害が多い今日、暮らしの電気を少しでも自分たちの手でコントロールしたいと興味を持ってくれる人が多く、手ごたえのある学びのある集まりになりました。



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