|海の側の築古の家を買ってリノベしたい
「古い木造の住宅を買ってリノベしたい」という希望があったOさん夫婦がはじめて事務所に訪ねて来てくれたのは一年以上前のことでした。
Oさんは、水と木の間で事務所のあるここ北条土手内の海が好きで、以前からよく遊びに来ていたと言います。
この辺りでいい物件が見つかるといいね、ということで、これから中古物件を探すにあたり、「どこを見てどう判断したらいいのか?」というアドバイスをしました。
|いい築古物件、どうやって探したらいいの?
日本で中古住宅を扱うのはけっこう難易度が高いんです。「お買い得なのか?を判断できない」という壁にぶつかるからです。不動産屋さんに連絡して家の中を見せてもらう前に、または建物の状態を調査してもらうために専門家を呼んで見てもらう前に、屋根が外壁の状態を目視で確かめるなど、建物の外から誰でも簡単にできるチェックポイントがあります。
何からはじめて、どこを確認すべきか、ステップごとに確認ポイントをブログでまとめています。
|ついに出会った不動産、まずは家の状態を調査しました
不動産探しをはじめて半年ほどたった頃、Oさん夫婦が希望していた海の近くの土地で中古物件の不動産情報が出てきました。偶然にも、水と木の間で事務所の目と鼻の先にある築56年の木造家屋でした。建物の状態を一緒に現地で確認してほしい、というOさんからの依頼でお家の内観に同行させてもらいました。
まずは目視確認できる範囲で確認したところ状態は悪くありませんでした。屋根や外壁も手を入れてあり、持ち主の方がこれまできちんと維持管理されていたことが分かりました。
前向きに話を進めようということなり、さらに詳しく建物の状態を見るため、日を改めて床下や小屋裏などの確認も含めた建物調査をしました。
調査の結果、屋根瓦の葺き替え、防水シートの新調、窓サッシの新調など、過去にメンテナンスがされいて、雨漏りもなく、構造に影響するようなひどい劣化や傾きもほとんどなく良好な状態でした。
不動産購入することを決めたOさん。 同築年数の木造家屋と比べて状態がとても良かったものの、一部基礎コンクリートのひび割れが見られたのと、旧耐震基準以前に建てられた家なので、耐震性能が満たされていないと考えられました。
そこで、次のステップは耐震診断でした。
|耐震診断の後、リノベの際に耐震工事も含めての計画を立てました
耐震対策をするなら、耐震補強を行うことを踏まえて、リノベーションの計画を立てることが重要です。まずは現状の建物がどのくらいの耐震レベルがあるのかを診断します。
現状結果を見ると、やはり耐震性能が足りません。例えば、1階のX方向の耐力は、必要耐力の51%しかないことが分かります。屋根や部材など建物を支える耐力壁が、Y方向はそれなりにある(必要耐力を満たしている)ものの、X方向には窓や開口部が多く、半分程度しかないのです。南側に多くの窓があることが多いので、木造の家屋は似たような結果になりやすいです。
こちらは耐震補強計画での結果です。評点を1.0以上にする必要があります。どの箇所を補修し、どの箇所を補強するか。こんな間取りにしたい!というOさんの希望と、ここは柱を抜くべきではない、ここには耐力壁を入れたい、という耐震補強計画をすり合わせるため、リノベーションのプランと共にOさんと話し合いを重ねました。
|耐震工事の様子
実際に工事が始まった現在。耐震工事の様子を少しご紹介します。
調査時に劣化がひどかった基礎コンクリート。この部分を補修すること。
ひび割れ部分を上からモルタルで補修するだけでは足りないと判断し、抱き合わせで基礎を新たにつくることにしました。
既存の基礎の横に新しく基礎ができました。
上部に見えるこげ茶色の梁の上には、2階の外壁が乗っています。2階の荷重がかかる部分なのに1階に支える壁がないので、耐震上不利な構造になっています。
この部分に耐力壁をつくります。
床や天井の解体後、耐震補強のための作業に入ります。先ほどの2階が乗っているのは写真右上の梁。その下で支える壁をつくるため、基礎屋さんが鉄筋を組んでいる作業中。
新しい基礎の上に土台、柱が入り、2階の外壁を支える耐力壁をつくります(途中経過)。視覚的にも支えがあることでほっと安心できますね。
耐震補強は仕上げると見えなくなる部分なので、工事中に写真を残しておきます。
つづく
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